INTA 国際ナチュラルセラピー協会では、旧会員さんが日頃ナチュラルセラピーをお仕事に取り入れていらっしゃるご様子をインタビュー形式でお届けしていきます。
【コルズ純子さんとの対談】
第2回:病院看護でのアロマ活用の実態
神戸海星病院ご勤務の看護師さん、コルズ純子さんとのお話を3回に渡ってお届けしております。
前回(第1回)は、純子さんのプロフィールや病院看護にアロマを取り入れたキッカケについてお話しいただきました。
●さて、看護研究の発表でアロマを選ばれた際には、どのようなアプローチで看護へ
の利用をお考えでしたか。
■その時は患者さんに乳癌の手術後の腕がリンパ浮腫で腫れている方がおられて
浮腫の軽減にE-Con.のサーキュレーションオイルを使ってマッサージしたり、
足のだるさを訴える方にも同じオイルでマッサージしました。
●お〜〜、そうなんですか。
研究発表の際は まだ患者さんへの利用はできないのかと勝手に思っていました。
芳香浴のように香りのアロマではなく、いきなり患者さんにお使いになったのです
ね。<
(ちょっと驚きました)
患者さんにご使用になることについて、患者さんや担当のお医者さんにはすん
なりと理解して頂けたのでしょうか?患者さんの反応はいかがだったのでしょ
う。
■今、思うといきなり患者さんに使用したことは、かなり大胆なことをしたも
のだと思いますが、幸いドクターや患者さんの家族の理解はすんなり得られた
んです。
寝たきりで話せない方が多かったので、直接感想を聞くことはできないので表
情とか、腫れていた腕のサイズなどで評価していたのですが。
お一人、20歳の若い女性がいました。その方は潰瘍性大腸炎という消化器の難病でし
たが、症状のひとつに足のだるさがありました。E-Conceptionのサーキュレーシオイルで毎日
マッサージしていましたが、とても楽になると毎日心待ちにされていました。
家族がついておられたら家族に教えてやってもらってもいいですね。
●わぁ〜、よかったですね。心待ちにされたり、効果があると、一層積極的に
利用するきっかけにもなるでしょうね。
もし差し支えなければ、特に印象的だった患者さんの事例をお聞かせ頂けますか。
効果という面だけでなく、患者さんの思いがけないアロマへの反応といったことでも
構いません。
■直腸癌で亡くなった方ですが、60代の独身でおしゃれな方でした。
人工肛門による臭いとリンパ浮腫を気にされていて消臭とマッサージを行いました
が、
とてもアロマに興味を示されてマッサージにはローズをはじめいろんな精油を
使われて楽しんでおられました。
亡くなった時、かなりの精油が残っていたので、あれはどうされたのかと気に
なります。(良ければ使って下さい、と下さるのを期待していたのですが!)
●ふふふ。下さるのかって 期待してしまいますねね。。(^^;)
でも、患者さんがご自分でも楽しまれるようになると、毎日の生活での刺激や明るさ
に繋がりますね。そういう面でもアロマは、心身両面の幅広いケアになると思います。
昨今、QOL=Quality of Life= 生活の質 と言われますが、その効果的なお手伝いに
なりますね。
■あと、80代で痒みと皮膚乾燥に使用した方も。 この方も亡くなりましたが、
娘さんがとても喜ばれて(本人は話せない方だったので)、亡くなった時にお
棺の中に精油を入れて下さったそうです。こういう話しを聞くと使用して良かっ
たと思いますね。
●わぁ〜、とても素敵なお話です。胸にジーンときました。感激。
本当に喜んで頂けたのですね。こちらまでうれしくなります。こういう出来事がある
と、使用してよかったと感激しますね!
■次年度の研究では、病棟の消臭にしぼってティートリーを使って患者さんの陰部洗
浄をしたり口腔ケア―をしたり消臭スプレーを作って使用し、病棟に
くる方に臭いについてのアンケートを取りました。
●ティーツリーでの消臭、効果がありそうです。
実際の所、結果はいかがでしたか。来院された方の反応もお教え頂けますか。
■ティーツリーの消臭効果は抜群です。排泄物のにおいもすぐに消えます。
今でも一番よく使うので病棟に染み付いているらしく、先日講習会をした時に
ティーツリーのにおいを嗅いだ他病棟のスタッフ達は皆口をそろえて「○○病
棟のにおい」というので笑ってしまいました。
●私もつられて、思わず笑ってしまいました。(^^;)
■そういうことで2年にわたりアロマがテーマで研究したので、スタッフにも
かなり浸透していると思います。その後も続いて消臭の取り組みは続いて
いるし痒みや乾燥肌、ターミナルケアーの患者さんのマッサージなど
いろいろ使用しています。
●研究発表の後、実際に日常的にアロマを使うことには
お医者さん、患者さん、看護スタッフさんたちには、すんなりと理解賛成頂けたのです
か。
■はい、いい反応ですよ。ドクターは特に積極的という訳ではありませんが
ナースは「このケースはアロマが効くのでは?」といろいろと聞いてきますね。
●そうですか。イイ感じなのですね。
また、日常で使用されている中で、患者さんの反応はいかがでしょうか。
■ご家族がケアーに使用するのにティーツリーを継続的に買ったり、
ブレンドオイルに必要な精油を頼まれることもあり、否定的な反応にあった
ことはないですね。
■また、自分達にも試してみようと夜勤明けの看護師同士でマッサージしてみたりも
しましたね。数字でのデータが出せるところまではいかなかったのですが
スタッフも興味津々で良い反応がありました。
●スタッフの方々の反応も どんなだったのか興味津々です。
アロマに初めてふれた方、御存知だった方もいらっしゃったでしょうか。
皆さんでマッサージするのも楽しそうですね。
■5−6年前のことなので今ほど精油も売ってないし、アロマという名前は
聞いたことあるけれど、という程度のスタッフがほとんどでした。
皆、興味持ってましたよ。そのことがきっかけでアロマ協会や学会に入って
勉強を続けているスタッフもいます。(今は退職して別の所で働いていますが、そ
の老人施設で”MRSAという感染症にティートリー、クローブ、ペパーミントを使って
ケア―してとても良い効果が得られているそうです。これはアロマ学会での発表によ
りエビデンスが証明されているようです。)
●さて、現在のアロマのご利用頻度についてお伺いしたいのですが、
まず、患者さんへのマッサージは頻繁になさっていらっしゃるのですか?
かなり日常的に患者さんに処方されるのでしょうか?
■使用頻度はその時期に入院しておられる患者様の状況と、関わっているナー
スのアロマに対する関心度にもよると思います。
皮膚の痒みや乾燥、浮腫などにアロマを使ったらどうか?と思うナースと、そ
こまで考えないで看護するナースといるわけです。
私も見ていて「このケースは使ってみたら?」と思えばその都度、話すように
しています。
●マッサージの他には、どのような利用をされますか。例えば芳香浴だけで
ご利用になることもあるんでしょうか?
■前に話した消臭スプレーの使用、陰部洗浄...これは寝たきりの方に毎日行うケア
でティートリーを使っています。
あと、加湿器の水に精油を入れて感染予防(特に冬の風邪予防)足浴、手浴
入浴、スタッフ用のハンドクリーム作り、、など応用範囲は広いです。
●なるほど。かなり細かに、日常的に活かされているのですね。
ひょっとしたら、精油瓶も備品と同じように沢山おいていらっしゃるのですか?
アロマの瓶が並んでいると香りが漂い、働いておられる皆さんにも心が和やかに
なるかしら、なんて想像してしまいました。
■たくさんは置いていないのですよ。ティートリーは日常的に必要なので
大ビンを常備していますが、他にはラベンダー、ペパーミント、ユーカリ、
ジュニパー、サイプレス、グレープフルーツ、オレンジなど病棟での
応用範囲の広いものを置いています。ブレンドしたオイルと共に冷蔵庫に
保管しています。
■他の病院から来た新しいスタッフにとっては、アロマを看護に使用している
ことがとても興味深いようですね。
●そうですね。きっと新しいスタッフさんにとっては、新鮮に思われるのではないで
しょうか。
■そうなんです。新しいスタッフにとってはとても新鮮で興味が持てるようです。
●新しいスタッフさんには、アロマに関して何か特に教えていらっしゃること
はありますか?マッサージの仕方など、でしょうか。
■教えていることといえば、やはり「アロマセラピーとは、精油とは、精油の
使い方と注意点」などですね。
私自身日本アロマテラピー協会のインストラクターの資格は取りましたが、セ
ラピスト資格はないのでマッサージはハンドマッサージしか、教えたことがあ
りません。
患者さんへのマッサージは本を見たりしてやります、これはまだこれから知識
と技術が必要と思っています。
★ インタビュアー矢野昭子のひと言
何回かお話を伺っただけですが、病院のお医者さんや患者さん、看護師さんたち
皆さん、とても柔軟で理解のある方々なんだな、と強く感じています。
病院のよい雰囲気も、純子さんのアロマの活用に対し、追い風になっているように思
いました。
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続きは、【第3回:今後の病院看護でのアロマ活用の展開と純子さんの夢】をどうぞ!
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