INTA 旧会員インタビュー
マーク凡例:●はINTA福島、◆は奥様・淑子さん、■はご主人・マーティー(本名 直尚)さん。 ●(福島) 最初からホテルの中のサロンをゲットできるなんて、とってもラッキーでしたね。 ◆(淑子さん)はい、本当にラッキーだったと思います。見えない世界からの応援と手配を感じましたね! 学校に通っている頃に、ANAホテルのサロンを経営しているおばちゃんが来ていて、彼女がいつも「ホテル内のサロンはいいわよー。ホテルのお客さんとローカルのお客さんと両方とれるし、ホテルと信頼関係ができちゃえばラクよー」って言ってるのを聞いてたから。ホテルで開業できたらいいな、って心の中で創造して思ってました。 ●それで、すぐにこのサロンをもたれたわけですね? とっても立派なサロンですけど、内装など投資大変だったんじゃないですか? ◆いや、最初は投資するだけお金がなくって。二人とも授業料で使い果たしてたから。 それで、ホテルと相談して、最初はホテルの客室を借りて、そこで予約が入ったときだけ施術してたんです。家賃も払わず、お客さんが入った分だけコミッションを支払う方式でした。だから、初期投資がほとんど要らなくて助かりました。予約を携帯電話でとるだけなので、私たちも空いた時間が自由になるし。 ●それは効率的な方法ですね。立ち上げ時期にピッタリな。その頃は、ご夫婦二人だけでされていたんですね? ■(ご主人)ホテルのサロンなのでビューティー系のお客様も来られるんですが、私たちはまだビューティー系は学んでいなかったので、一人だけそのスタッフを雇いました。雇うっていっても、予約が入ったときだけ呼んで来てもらう「オン・コール」契約なんです。 ●「オン・コール」契約って何ですか? ■すごく便利なシステムなんですよ。そのスタッフの時間を指定してスケジュールを空けておいてもらって、予約が入ったときだけ来てもらって、その分だけ支払うというスタイルです。常勤で雇うより時間あたりのお給料は高めに設定しますが、予約が入らなければお給料を支払う必要はないので、経営側にとっては人件費コスト負担が軽くなるんです。 スタッフも予約が入らなければ収入にならないので、リピーター獲得にも熱心ですしね。自分の腕1本で勝負っていうところで、プロ意識が高まるようです。 ●今のスタッフもみんな「オン・コール」契約ですか? ■今はスタッフ10人いるんですが、そのうちいわゆる「雇用」しているのは4人だけ。残りはオン・コール契約です。みんな、それぞれ家族がいるし、やりたいことがあるし、勉強続ける人もいるから、ここでの仕事ばかりに縛られずに自分の世界を広げて欲しいってことで。 スタッフにはどちらの雇用形態がいいか希望を聞くんです。毎日朝から晩までベッタリで仕事する「雇用」スタイルは好まない人もけっこういますしね。 ●Future Therapy 開業して7年目に入ったわけですが、移住してきて新しいことを勉強してスタートしたビジネス、ずいぶん成長しましたよね。成功した理由は何だと思いますか? ◆真心でお客様に接すること そして100%満足してもらえるために心を込めてトリートメントすることを続けてきたからだと思います。 うーん、あと、スタッフ同士のチームワークかな。それと、スタッフのことを常に気にかけてきたってことが大きいかもしれません。ほら、こういう仕事って自分のプライベートに問題があったら他人を癒すことが難しいでしょう? だから、スタッフに個人的な問題があれば、できるだけ癒せるようにと。たとえば、マッサージをプレゼントしてあげたり、休みの日にウチに呼んで話を聞いてあげたりとか。そういうことでスタッフとの信頼が強まっていったのかな、という気はします。 ●今、お二人はあまりお店には出ていらっしゃらないそうですが。 ◆去年の11月くらいから、私たち夫婦はあえてレギュラーメンバーとしてルーティンから抜けることにしたんです。もっとマネジメント的な仕事や、クリエイティブな活動に力を入れていったほうがいいってことで。 ●それはよく分かります。私も「自分にしか出来ない仕事」以外は他スタッフに任せるように移行しているところなんですが、そうしたほうが新しいアイデアが浮かんでくるし、スタッフも責任感もってくれるし、組織全体に活気が出てきますね。 ◆でも、そうやって私たちが現場に足を運ぶ頻度が減ると、やっぱりお客さんが減ってるんです。それは予約状況見たら、もう歴然と分かります(^^;)。 ●創業者中心の個人事業から、スタッフに任せて組織化していく過程で、どの企業も悩む問題ですね。E-Conceptionもまさしくその時期なのだけど。 ◆それで、これはなんとかしなければってことで、夫がスタッフにアンケートみたいなものをやってみたんですね。そしたら、私たちが教育してきたことが徹底できていないことが分かって。それが自分たちがやってきたことを振り返る、いい機会になりました。 私が抜けるとお客さんが減る。それじゃ、私と、スタッフとはどこが違うのだろう? 私は一体何をやっているんだろう?と、自分なりに考えてみたんですね。ほら、ちょっとしたことって自分では自然とやっているから、分からないもんなんです。 たとえば、お客さんをお見送りするときドアを開けてあげるとか、いつも笑顔で接するとか お客様の好みの話題を持ち出すとか、居心地がいいように待合室のソファーのクッションをいつもきちんと揃えておくだとか。 小さなことなんだけど、そういう小さい気遣いの積み重ねでお客さんはいい気持ちになって満足してくださるんですよね。そこのところをスタッフはいつのまにか忘れてしまっていたのかもしれません。 ●そういう気遣いって日本人だと言葉にしなくても汲み取ってくれたりしますが、オーストラリア人に接客を教えるのって大変じゃないですか? ウチでも、E-Conceptionスタッフに「ラベルをまっすぐ貼って」と教えるのに、とっても苦労してますし(^^;)。オーストラリア人、そういう細かいこと、どーでもいいと思ってるフシがありますから。 ◆それはあります。タオルの丸め方がいい加減だったり、足の踏み台が曲がっていても平気だったり。 なので私がよくスタッフに言うのは、「お客さんの目で見てごらん」って。自分がいい気持ちになれるようにするには、どこをどう変えたらいいか考えてごらんってね。 ●それはいい教え方ですね。オーストラリア人の接客スタンダードは日本人に比べたら低いかもしれないけど、その日本人らしい細やかな心遣いがオーストラリア人のお客さんに喜ばれてきた要素なんじゃないかという気がします。 最後にお二人にお伺いします。これからやりたいことはどんなことでしょうか? ◆サロンはもう6年間みっちり頑張ってきたので、今度は違うことをやりたいです。 自分で主体的に健康になるためのスクール、みたいなことをしたいなって思ってます。自分の健康管理のための知識と実践というか。体操したり瞑想したり。。 ■2号店出すというアイデアもあるんですけど、お店は1つ運営するだけでも大変なので、今度はまたちょっと違う分野もいいかな、と。 「マッサージ」にとらわれることなく、健康管理、病気予防という分野で役立ちたいですね。 ●今日はお忙しい中、ありがとうございました。 これからも益々のご活躍を、楽しみにしております。 次回は、aroma&esthetic salon 『Noah』を経営されている柚木さんのインタビューです。お楽しみに! 感想、ご意見などメール info@inta-j.org にてお気軽にお聞かせ下さい。 また、INTA会員さんで対談ご希望の方、大歓迎です。 ★→会員インタビュー・インデックスに戻る
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